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『星降る夜に、花束を』 第1話 「なくしもの」 その12

 そして別れの日がやって来た。
 ナンは荷物をまとめ、ミフィの屋敷の前に立っていた。
「本当に行くのか?」
 白衣に眼鏡をかけたミフィが心なしか寂しげにナンを見つめる。
「ええ、あまり長居するのもね」
「あたしは、いつまでいてくれてもいいんだが。それにまだ研究データが」
「もう大丈夫。まだ記憶の再生は終わっていないみたいだけど、最初の頃みたいに体調が悪くなることもないし、これなら大丈夫よ」
「……そうか。君は冒険者だものな。一箇所にじっとしてはいられないんだろう。では今回の依頼の報酬を――」
 お金のつまった袋を重たそうに持ち上げるミフィの手をそっと下ろさせ、ナンはミフィの眼鏡をそっと取り上げた。
「……え?」
 きょとんとした顔のミフィ。それにナンは取り上げた眼鏡を自分にかけると、パチリとウィンク一つ。
「報酬はこれでいいわ」
「え、で、でも!?」
「あ、あともう一つ約束が欲しいかな」
「約束?」
「もう眼鏡に頼らないで大丈夫よね?」
 そう言うナンの後ろからはミフィを遊びに誘おうとやって来た町の子供たちの姿。
「貴方はもう一人じゃないでしょ?」
「……あ」
「だからこれをもらうわ。もう貴方には必要ないものだしね」
「ナンお姉ちゃん……」
「だから今度会うときには、とびっきりの笑顔を見せて欲しいかな」
 今度会う。それはまたミフィに会いに来るという約束。
「あ……うんっ!」
 それを理解したミフィは瞳を輝かせ、大きく頷いた。そこに浮かんだ満面の笑みはミフィの年相応のもので。
 ナンはこの笑顔が見れただけでもこの依頼を受けた甲斐があった気がした。
 手を振り、ミフィに別れを告げる。馬車に乗り込み、遠ざかっていく町の景色を視界に焼き付ける。
「ご主人……」
「何? 千夏」
「本当に良かったん? お金受けとらんで」
「うん、あの笑顔だけで十分よ」
「う~ん、でもそうなると路銀がちょっと厳しい感じやで。こりゃ早く次の仕事見つけんとあかんわ」
「そうね。アクロポリスに戻ったら、依頼見てみよっか」
 馬車に揺られ、そんな会話を交わしながら、ナンは遠ざかるファーイーストを見つめ続けた。
(頑張ってね、ミフィ)
 離れていく友達にエールを送りながら、ナンは頬を撫でる風の感触を楽しむようにそっと目を閉じた。

 第一話 了
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